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A 美術史講座
「キリスト教図像学入門 旧約聖書篇」
キリスト教美術は長らく西洋美術の中核を占め続けてきました。とりわけ1000年近く続いた中世においては美術の大部分がキリスト教主題の作品でした。キリスト教の経典は旧約聖書と新約聖書から成り立っていますが、前者はユダヤ教、イスラム教の教典でもあることから、キリスト教にとって真に重要なのは新約聖書であって、旧約聖書はあくまでも副次的存在、と理解されている方が多いのですが、これは正しくありません。ローマ皇帝によるキリスト教公認前後までの「初期キリスト教美術」に取り上げられた主題の半分は旧約聖書が典拠でした。旧約聖書中の出来事の数々を新約聖書中の事績の前兆と認める「予型論」の考え方はその後も長く信奉され続けました。中世に一般的だった教会堂身廊側壁の一方に旧約聖書、他方に新約聖書の事績の数々が描かれた教会堂の伝統はルネサンス絵画の宝庫であるシスティーナ礼拝堂―特にミケランジェロの天井画「天地創造」で有名―にも引き継がれています。
この講座では旧約聖書の代表的美術主題を『創世記』から順に取り上げ、それぞれの主題が時代とともにどう変遷していったかの概略をお話しします。次年度は新約聖書の代表的主題を、やはり聖書における記載順に取り上げて論じる予定です。
講座概要
後期 10/8 11/5 12/17
前期のみ 10,500円【コードA-1】
後期のみ 10,500円【コードA-2】
各回のテーマと内容
前期
第1回(5/14) 旧約聖書の重要性/予型論 天地創造
第2回(6/11) 原罪~楽園追放~大洪水
第3回(7/9) バベルの塔~アブラハム
後期
第4回(10/8) イサク~ヤコブ~ヨセフ~モーセ
第5回(11/5) サムソン~ダビデ~ソロモン
第6回(12/17) ダニエル~ヨナ~ヨブ~トビト・ユディト・エステル
講師プロフィール

高橋達史(たかはし・たつし)
青山学院大学名誉教授。1951年東京生まれ。東京大学文学部卒、同大学大学院とアムステルダム市立大学で西洋美術史を学ぶ。東京大学助手、東京経済大学助教授、青山学院大学教授を歴任したのち2020年3月に定年退職。17世紀オランダ絵画を中心とするフランドル・オランダ絵画史、とりわけ風俗画から出発したが、現在では関心が13〜14世紀と19世紀の双方向に大きく拡散している。著書(すべて共著)は『歴史画』(集英社)、『フェルメール』(中央公論社)、『レンブラント』(朝日新聞社)など。音楽図像学の分野での論考には「音楽図像学への誘い」(『季刊コンソート』1987-89年)、連載「音楽家のイコノロジー」(『ListenView』1989-91年)、連載「オーケストラから締め出された楽器たち」(『春秋』2000-01年)、「沈黙の音楽が語るもの 17世紀絵画における楽器のシンボリズム」、「オルフェウスの遺産 -絵画に見る〈音楽の慰め〉」(ともに1988年)、「毎日が日曜日、もしくは絵空事の農村像 《農民カンタータ》の美術史的背景」(1998年)、「〈絵に描いた笛〉のメッセージ」(1999年)などがある。2005年10月の日本音楽学会シンポジウムでは「複製版画と印刷楽譜」の発表を行った。
受講方法
※本講座は、Web会議システム「Zoom(ズーム)」を使ってオンラインで行います。
※講座の録画を受講者に配信いたしますので、当日欠席された場合でも後日視聴が可能です。
※お申し込み受付後、受講方法や資料に関するご案内メールをお送りします。
お申し込み後1週間以上経ってもメールが届かない場合は、お手数ですが事務局までお問い合わせください。