IH 思想史講座「中世・ルネサンス・バロックの自然と人間」

Zoomオンライン

IH 思想史講座「中世・ルネサンス・バロックの自然と人間」

「四大」や「月下界」、「天使」や「薔薇園」。中世やルネサンス、バロックの時代に生きた音楽家と鑑賞者たちは、われわれ現代人とは大きく異なる自然や人間についての考えをもっていました。こうした自然観や人間観は、古楽のそこかしこに反映されています。本講座では、伝統的な自然観や人間観への入門編として、自然界やそれを構成する事物、動植物や人間の成立ちや位置づけなど、当時の世界を理解するために不可欠な基礎知識を、当時の図像や版画などを多くもちいて総合的に学びます。さらに人々に大きな霊感をあたえる「奇跡」や「驚異」、そして占星術や魔術、錬金術の秘密にも踏みこむ予定です。受講者の皆さんは本講座をとおして、中世人やルネサンス人が体感した時代の精神に近づくことができるでしょう。また皆さんが普段からお持ちの素朴な疑問に応える時間を十分にとる予定です。
※お好きな回のみをお申し込みいただくことも可能です。
※終了した回は動画で受講していただくことが可能です。

講座概要

講座名
IH 思想史講座「中世・ルネサンス・バロックの自然と人間」(全3回)
受講方法
Zoomオンライン
講師
ヒロ・ヒライ
曜日・時間
土曜 9:00-11:00
日程
2023/7/1 7/15 7/22
受講料(税込)
全3回 9,000円
各回 3,500円
アーカイブ動画
あり 視聴期間2024年3月31日まで

各回のテーマ

第1回(7/1) 伝統的な自然観:天界と月下界、あるいは大宇宙(マクロコスモス編)※終了いたしました。
音楽を奏でる人々や音楽を愉しむ人々をとりまく環境、つまり人間界を包みこむ「自然」は、「大宇宙」(マクロコスモス)とも呼ばれます。中世やルネサンス、バロックの時代を生きた人々は、この大いなる宇宙をどのように理解していたのでしょうか?ルネサンス期の天文学者コペルニクスが提唱した地動説によって人々の見方は大きく変わったかに想像されがちですが、伝統的なヨーロッパの自然観は中世からバロックの時代まで、しっかりと息づいていました。キルヒャーやゲスナー、ロバート・フラッドなどの著作をもとに、「四大」とも呼ばれる四元素(火・気・水・土)から、動植物や人間が生きる「月下界」の成立ち、はては天界から聖者や天使の座まで、古代ギリシアの思想とキリスト教の融合が生みだした自然界についての考えを分かりやすく一望します。

第2回(7/15) 伝統的な人間観:体と心、あるいは小宇宙(ミクロコスモス編)※終了いたしました。
人間をとりまく「大宇宙」(マクロコスモス)にたいして、人間そのものは宇宙の似像でもある「小宇宙」(ミクロコスモス)と呼ばれます。宇宙のすべてがその内側に反映されていると考えられた人間は、どのように成立ち、外界とどのような結びつきをもつと理解されたのでしょうか?本講座の第二回では、中世やルネサンス、バロックの時代を生きた人々が人間と自然の結びつきから人間の身体、そしてその内面である「心」(アニマ)の働きを伝統的にどのように理解していたのかに迫ります。デューラーやパラケルススなどの身体観にも触れる予定です。ここでは、心と体をむすぶと考えられた「気息」あるいは「精気」(スピリトゥス)が重要な役割を担うでしょう。そしてそれは音楽とも深い関係があるのです。また「メランコリア」にも注目する予定です。

第3回(7/22) 奇跡と驚異、そして占星術・魔術・錬金術の秘密(ミラビリア編)※終了いたしました。
第一回と第二回で考察したマクロコスモスとミクロコスモスの話は、自然界と人間界における「通常」の働きを前提にしたものです。その一方で、通常の働きから「逸脱」する領域にあるのものが、奇跡であり、「驚異」(ミラビリア)と呼ばれるさまざまな現象です。こうした現象は、もうひとつの豊かな世界をつくり出し、人々を驚かせ、畏怖させ、ときに音楽家や芸術家に大きな霊感を与えてきました。本講座の第三回では、伝統的な自然観・人間観やキリスト教との関係から「奇跡」や「驚異」の意味と位置づけを概観します。さらに占星術や魔術、錬金術と呼ばれる知の伝統は、そうした現象とどのような関係にあったのでしょうか?この問題にも踏みこんでみたいと思います。

講師プロフィール

ヒロ・ヒライ
ヒロ・ヒライ

ルネサンス学・科学思想史。学術ウェブサイト bibliotheca hermetica(略称BH)主宰。コロンビア大学・科学と社会研究所リサーチ・アソシエイト。英仏伊語による共編著・論文多数。Early Science & Medicine 誌・学術顧問、勁草書房BH叢書・編集主幹。邦語の編著に『ミクロコスモス』(月曜社、2010年)、『知のミクロコスモス』(中央公論新社、2014年)、『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎、2019年)、翻訳にプリンチーペ著『錬金術の秘密』(勁草書房、2018年)など。第九回日本学術振興会賞受賞(2012年)。

受講方法

※この講座は、Web会議システム Zoom(ズーム)を使ってオンラインで開催いたします。受講にはインターネット通信環境とパソコン(マイクとカメラ使用)あるいはスマホやタブレット(Wi-Fi推奨)が必要です。資料を示しますので大きめの画面が望ましいです。なおZoom講座は録画して受講者に配信いたしますので、当日欠席されても後日ご覧いただくことができます。
※お申し込み受付後、受講方法、資料などを記載したメールをお送りいたします。お申し込み後2日以上たってもメールが届かない場合は、恐れ入りますが事務局までお問合せください。