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MhC 音楽史講座C:
修道院・大聖堂を巡る西洋音楽史
本講座では、ヨーロッパ音楽史が育まれた修道院や大聖堂(その周辺の教会を含む)を取り上げ、その中でどのような音楽が誰によって作られ、歌われてきたのか、またその伝統がどこに伝播し、浸透していったのかを探ります。例えば、スペインのブルゴス近郊に位置する「ラス・ウェルガス修道院」は、サンティアゴ・デ・コンポステラ大聖堂への巡礼路上にあり、いくつもの巡礼路がここで交差する地点です。この修道院で作成された写本には、遠く離れたパリのノートル・ダム大聖堂の多声曲と共通するレパートリーが含まれており、中世の巡礼者たちが各地の多声楽曲を携え、伝えたことがわかります。また、フランスのアヴィニョンにある教皇庁とその周辺の教会では、14世紀フランスの優れた音楽家たちが集められた結果、豊かな音楽文化が発展しました。ここではフィリップ・ド・ヴィトリが活躍し、さらにその後「アルス・スブティリオル」と呼ばれる特異な記譜法を駆使した音楽を生み出しました。このように、修道院や大聖堂、さらにはその周辺の教会や礼拝堂を定点観測することで、そこを中心に後世にまで影響を与えた豊かな音楽文化が形成されていることが明らかになります。今年度は、最初に導入として概要を解説したのち、キリスト教文化の中心を担った6つの修道院や大聖堂に焦点を当て、そこで育まれた教会音楽について学びます。
講座概要
前期 7/24 8/7 9/18
後期 1/22 2/5 2/19
導入編トライアル 3,500円(継続の場合は差額で受講可能)【コードMhC-1】
前期のみ 10,500円【コードMhC-2】
後期のみ 10,500円【コードMhC-3】
各回のテーマと内容
導入編
第1回(5/1) 音楽を育む場としての教会
前期
第2回(7/24) 修道院文化の始まりと聖歌隊教育:ザンクト・ガレン修道院など
第3回(8/7) 聖地巡礼と多声音楽の伝承:ラス・ウェルガス修道院とパリ・ノートル・ダム大聖堂
第4回(9/18) 教会大分裂と音楽史の転換点:アヴィニョンの教皇庁
後期
第5回(1/22) ルネサンス時代の大聖堂と音楽家たち:カンブレ大聖堂を中心に
第6回(2/5) 貴族と大聖堂:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を中心に
第7回(2/19) ヴェネツィア共和国の教会と音楽:サン・マルコ大聖堂を中心に
講師プロフィール

宮崎晴代(みやざき・はるよ)
武蔵野音楽大学音楽学学科および同大学院修士課程音楽学専攻修了。米国フロリダ州立大学大学院博士課程でCertificate in Early Musicを取得後、東京大学先端科学技術研究センター協力研究員として、音楽における時間論と記譜法を研究する。大学で中世・ルネサンス時代の音楽理論研究を行う一方、中世音楽合唱団に所属し、演奏活動も行っている。日本音楽学会、国際音楽学会、西洋中世学会各会員。音楽文献目録委員会(RILM)委員長。著書『バロック音楽の名曲』(2008)、共訳書『グロケイオ「音楽論」全訳と手引き』、『ミクロログス(音楽小論):全訳と解説』など。東京芸術大学、慶應義塾大学、武蔵野音楽大学、昭和音楽大学等で教鞭をとっているほか、NHK-FM番組「古楽の楽しみ」、全日本合唱コンクールのルネサンス部門の楽譜監修や解説などを行っている。
受講方法
※本講座は、Web会議システム「Zoom(ズーム)」を使ってオンラインで行います。
※講座の録画を受講者に配信いたしますので、当日欠席された場合でも後日視聴が可能です。
※お申し込み受付後、受講方法や資料に関するご案内メールをお送りします。
お申し込み後1週間以上経ってもメールが届かない場合は、お手数ですが事務局までお問い合わせください。